2009-01-01から1年間の記事一覧
そもそも、家庭用のビデオカメラが普及し始めた時に、映像表現の民主化がスタートしていたのだ。
トレーディング理論とは、壮大な虚構である。所詮は当たるも八卦、当たらぬも八卦の世界なんである。誰もが薄々気づいていながら、ビジネスの現場でそれを口にしたら最後、低次元なアホと思われるのがオチであったこの事実を、最高の頭脳を持った男が徹底的…
あれだけ斬新(?)なキャンペーンを手掛けながら、言っていることはかなりオーソドックス。自己プロデュースの一環かも知れないが。業界から反発食らわないための。
シュルレアリスム文学の最重要作品ということだが、面白さのポイントがさっぱり分からない。ビジュアルと文章のインタラクションが斬新だったのか?この手の作品を翻訳で読むこと自体にムリがある。
88年から08年まで、20年間に及ぶクラブ・ミュージックシーンの流れを、数々の名盤をレビューしつつ概観。ぶっとい幹が何本も生え揃っていた「分かりやすい時代」から、急速に毛細化し複雑に絡み合っていく「混沌とした現在」へと至る道。
たった1本のバナナを調べることから、グローバリズムの実態がほの見えてくる。「搾取-非搾取」の左翼的な論調はさておき、名著と呼ばれるだけあって、さすがに画期的な視点。30年近く前の本だが、今の小中学生に経済の勉強をさせるために、これほどふさわ…
全体に漂う、何とも言えない”カビ臭さ”。古い感性のライターが書いている、ということに尽きるのだろう。いい加減なレビュー。馴れ合いの文体。ジャンルの価値を貶めているような気すらする。そもそも、通を気取りたかったのか知らないが、誰でも思い浮かべ…
かつて、この本の解説を担当した藤森照信は、「東京に地霊はない」と言い切った。著者にケンカを売るような解説など前代未聞だが、「地霊とは精霊のようなものであり、東京のそれはとっくに死に絶えている」という藤森の主張は、あまりに素朴な自然観に根ざ…
マイブラの大ファンであるアメリカの音楽ライターが、ケヴィン、ビリンダなどバンドメンバーやレーベル関係者などに取材し、伝説的名盤「loveless」の制作過程を明らかにしていく。 このアルバムについては、リリース後から相当聞き込んできたし、20世紀の…
扉を開くと、性格、趣味、嗜好など、「自分」にまつわる様々な質問がズラリと並んでいる。読者はペンを取り、回答欄の余白に答えを書き込んでいく。といっても、女性誌にありがちな「あなたは◯◯タイプ」的なカテゴライズや、解説的なものは一切用意されてい…
「中2が大人になった部屋だね」。ホリエモンの自宅を訪問した水道橋博士が放ったひと言だそうだ。この本の内容も、まさに大人になった中2がファミレスで繰り広げそうなヨタ話。マスメディアに関する話題が色々出てきて、少なからず興味を持ったが、広告関…
そもそもがトンデモ系のネタということもあり、取材対象の言動はすべからく怪しげで、信憑性ゼロ。くだらない取材への適当な回答を真に受けて、さらなる疑惑を妄想する、危ないジャーナリストの空回り日記?引っ張るだけ引っ張って、真相は分からずじまいと…
すべての議論が、いまや古式騒然とした佇まいである。少なくとも安倍政権の頃までは、この手の議論を真剣に読み込んでいたはず。気づかぬうちに時代のパラダイムは変更されていて、民主党政権誕生はその結果でしかなかったのかも知れない(福田〜麻生は調整…
グローバル経済の隆盛に伴い、利益至上主義の巨大産業と化したファッション業界。コングロマリットの支配、露骨なPR戦略、著しい品質低下など、激しく変貌する有名ブランドのドロドロとした実態を、驚くべき取材力により暴き出した労作。今にして思えば、こ…
最近すっかり小説を読まなくなったが、これは面白かった。旅、幼少期の記憶、都会の孤独。「カットグラスのような硬質な文章を、母音が多く暖かみとふくらみを感じさせる日本語に訳す」ことに苦心したという訳文は、非の打ち所がない素晴らしさ。
これを読む限り、小沢一郎は希代の”英雄的政治家”である。事実なのか、単なるまやかしなのか。ついに政権奪取した今こそが、本書を読む絶好のタイミングだ。もしこの本の内容が真実だとしたら、我々の頭にこびりついた小沢のダーティイメージは、与党とマス…
産経新聞を退社し、フリーとなった著者が初めて手掛けた書籍。内容の俗っぽさとは裏腹に、考え得るほぼ全ての関係者に当たった丹念な取材姿勢に好感が持てる。迷いや恐れなど、内面を率直に吐露しつつ、対象から逃げずに真実を追究しようとする初々しいスピ…
沖縄社会の現実を知るには格好の入門書。ただし、沖縄にリゾートイメージしか抱いていないような人向け。多少なりとも実情を知っている人には、それほど目新しいトピックはないだろう。本土からの移住組が、地域との交流を拒否し軋轢を生んでいる様に、いわ…
いちいち、ごもっとも。だがもしかすると、タイトルに(日本では)というフレーズを加えた方がいいかも知れない。国際的なウェブ社会は基本的に英語ベースである。日本語という特殊な言語障壁に守られた我が国のウェブ社会は、実社会同様、世界的に見たらタ…
村上龍をきちんと体験してこなかったのは、大いなる失策だったかも知れない。適度な休みを入れないと具合が悪くなるほどの、強烈な読書体験。かなりの身体的ダメージを受けた。この時代の村上を「エヴァンゲリオン」の庵野秀明は確実に内包しているはずだ。…
佐々木、深澤、後藤の各氏が1章ずつ論考部分を担当し、各章の冒頭に3人の座談会を置くという構成。建築領域をテーマにした「デザイン・ポイエーシス」編の鼎談が、様々な示唆に富み最も面白い。「すべての造形活動の終着点は建築である」というバウハウス…
小説でしか表現し得ない娯楽大作。荒唐無稽、マンガ的な話でありながら、シラけさせずに読ませ切る力量には恐るべきものがある。ストーリーとは直接関係ない、壊れた人間たちの描写が圧倒的にリアル。一体この作家はどんな世界を見て生きてきたのか。10代…
内容のほとんどすべてがジェフリー・S・ヤング”iCON ”(日本語版「スティーブ・ジョブズ 偶像復活」)からの引き写しである。要約本といってもいい。各章の最後にビジネスマン向けの解説パートを付け足し、参考文献に書名を挙げただけで別物になりうるのか?
芭蕉といえども全ての作品が面白いわけではないのだ。教科書に載っているようなものは、やはりポップでキャッチーで、残るべくして残っている。
「結晶世界」「狂風世界」「沈んだ世界」・・・。あり得ないような状況を設定し、その状況下における人間たちの行動を、神の視点で観察する。バラードの作品は、サディスティックな「もしもシリーズ」である。 この「クラッシュ」では、神の視点が下界に降り…
500ページ近くあるが、高校生向けに書かれた講義スタイルの本なので、意外にスラスラ読める。タイトルとは裏腹に、トピック自体は教科書的でオーソドックス。そういえば、近・現代史でこんな授業を受けたなあと懐かしく思い出す。最大の特徴は日本と世界…
文楽や生け花はまだしも、すき焼きや天ぷらまで詩的に讃えられると、もはやギャグとしか思えない。著者は、強烈な洒落を効かせただけではないのか?インテリの余興として。ご高閲をありがたく拝聴する日本人を、内心小馬鹿にして。芭蕉や蕪村の俳句を俎上に…
レゴブロックのワンピースを叩き壊し、砕け散った破片をさらに顕微鏡で調べるようなことを、恐らく生物学はやってきたのである。 物理的には可能だとしても、それ以上細分化しては意味がない、ギリギリの最小単位。 著者にしてみれば、「DNA」は”砕き過ぎ”と…
部屋が、モノで溢れている。そういう人は、家賃の大半を倉庫代として払っているのである。隙間があったら「収納できる!」と思ってしまう病理。広い部屋を広いまま使うという発想は、日本人にはことさらハードルが高い。「あると便利そうなモノは、もともと…
ピカソについて、何も知らなかった事に衝撃を受けた。こんなやり方が許されるのか。他人の作品をまるごと模倣し、リミックスにリミックスを重ね、最終的にオリジナルとはまるで異なったイメージの「作品」を完成させる。タイトルは他人の作品のままである。…