2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

翻訳語成立事情(柳父章/岩波新書)

非常に面白い切り口だが、言葉の初出など文献資料的な内容が中心。成立時のエピソードなどが読みたい向きには不適。

民営化という虚妄(東谷暁/ちくま文庫)

小泉・竹中改革の中心的テーマであった「郵政民営化」を徹底批判。とはいえ最初に結論ありき。批判のための批判、デメリットばかりを挙げつらう。これでは賛成派の言動の裏返しでしかなく、まるで説得力なし。結局どっちもどっちという感じ。

マゾヒスティック・ランドスケープ(ladscape explorer/学芸出版社)

赤瀬川原平”トマソン”のアカデミック版といったらいいか。一般人による生活環境の改変事例を、フィールドワーク的な手法で採集、解説を加えた研究報告書。方向性は深澤直人/原研哉的なものだが、硬派なアカデミズムを標榜している割に、各パートの表現スタ…

おいしいハンバーガーのこわい話(エリック・シュローサー、チャールズ・ウィルソン、宇丹貴代実訳/草思社)

ティーンエイジャー向けに、ファストフードの危険性を分かりやすく解説した本。「自分ごと」にさせるため、同世代の子供たちを随所に登場させている工夫に、なるほどと思う。

ヒット商品のデザイン戦略を解剖する(ピエ・ブックス)

「アートディレクター」と称する人たちの中に、クリエイティブ・ディレクターと呼びうる人と、たんなるデザイナーにしか過ぎない人とが混在している事実。

東洋的な見方(鈴木大拙、上田閑照編/岩波文庫)

直前に読んだ「ハイコンセプト」と内容がダブっていたのが面白かった。西洋の思想はまず物事を二分するところから始まる。それがそもそもの誤りなのだという。二元論は対立を生む。だが現実は良きも悪きも、清も濁も、すべてが入り混じるカオスである。その…

ハイコンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代(ダニエル・ピンク、大前研一訳/三笠書房)

最近読んできた「脳科学/行動心理学」系と「フラット化する社会」を足して2で割ったような内容。IT革命が世界の労働環境を著しく変化させ、もはや単純労働やコンピューターに代用可能な仕事ではメシが食えなくなってきた。そんな時代の「生き残りの処方箋…

恐怖の存在(下)(マイクル・クライトン、酒井昭伸訳/早川書房)

「地球温暖化説はエセ科学ではないのか?」という、世界中の市民を敵に回すような疑念を、膨大な知識を裏付けにして無理矢理エンタテイメントのブレームに押し込んだ異色作。著者自身の解説にもあるが、反エコロジーの論陣を張るために相当な量の資料を読み…

株のからくり(奥村宏/平凡社新書)

同じ話を何度も繰り返す”水増し本”だが、バブルの発生原因に異論を唱えた部分は面白い。通説である「85年のプラザ合意および日銀の金融緩和政策」に対し、すでに70年代中〜後半から「法人の安定株主工作=株式大量保有による需給の逼迫」を要因とする急…