2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

巨大投資銀行<上>(黒木亮/角川文庫)

ニューヨーク、東京、ロンドンを舞台にした、壮大なスケールの金融小説。エピソードのほとんどが実在した事件を扱っているため、日本のバブル期から世界金融破綻直前までの現代金融史も概観できる。金融工学の複雑なテクニックが随所に織り込まれ、時折理解…

昭和史を動かしたアメリカ情報機関(有馬哲夫/平凡社新書)

アメリカによる戦中戦後の対日工作を、おもに公文書館の資料を発掘し解明した労作。第1章「ルーズベルトの”陰謀”はあったのか?」は特筆すべき内容で、謀略史観の誤謬を説得力を持って批判する。たったひとつの政治的行動といえど、様々な階層におけるパワ…

グリーンスパン(ボブ・ウッドワード、山岡洋一、高遠裕子訳/日経ビジネス人文庫)

0.25%単位で政策金利を上げたり下げたり。全篇その繰り返し。「ブッシュの戦争」の信じがたいようなリアリティはここにはなく、いかにも単調で味気ないが、70年代から00年に至るまで、世界金融の中心で何が行われてきたのかを概観するには良い。

私的ブランド論(秦郷次郎/日経ビジネス人文庫)

日本におけるルイ・ヴィトンのマーケティング・ヒストリーをまとめた小冊子的な一冊。常にトラベルバッグのルーツに立ち返り、モラルと節度を守りつつ、誠実にブランドを育成してきたことが語られるが、それゆえに、LVMH以後の異様とも思える変節ぶりが浮き…