2011-01-01から1年間の記事一覧

 シャドー81(ルシアン・ネイハム、中野圭二訳/ハヤカワ文庫)

「メタル・ギア」の小島秀夫氏推薦ということで読んでみた。リアリティは薄いが、テンポの良いアニメ的展開は映画にでもなりそうで、良くまとまっている。クリストファー・ノーランに映画化して欲しい。

 高い城の男(フィリップ・K・ディック、浅倉久志訳/早川書房)

SFでありながら中国の「易経」を駆使しているアイデアが面白い。ストーリー展開もサスペンスフルで楽しめる。「豊饒の海」を思わせるラストも含めて、東洋ムードに満ちた良品。J・G・バラード風でもある。

 イマココ 渡り鳥からグーグル・アースまで、空間認知の科学(コリン・アラード、渡会圭子訳/早川書房)

「空間認知学」の様々なトピック集。興味深い話が多々。

 海の向こうで戦争が始まる(村上龍/講談社文庫)

衝動買いしたまま読む気力が湧かなかった一連の村上作品。2冊目のジンクスか、散漫で断片的。

 ランド 世界を支配した研究所(アレックス・アベラ、牧野洋訳/文春文庫)

国家戦略の中枢に、天才的な知性が集結したシンクタンクが存在していたという事実。それがネオコンの源流になったという経緯。アメリカという国の底知れぬ不気味さに戦慄。

 単純な脳、複雑な「私」(池谷裕二/朝日出版社)

脳科学も実体験に勝るものはない。よくできた入門書。

 国際貢献のウソ(伊勢崎堅治/ちくまプリマー新書)

誰も反論できないような叩き上げの経験値。説得力100%なのだが、近頃の草食系ボランティアの人たちは少し引いてしまうかも知れない。

 つながり(ニコラス・A・クリスタキス、ジェイムズ・H・ファウラー、鬼澤忍訳/講談社)

ネットワーク理論の眉唾っぽさは相変わらず。

 夜中に犬に起こった奇妙な事件(マーク・ハッドン、小尾芙佐訳/早川書房)

サヴァン症候群の少年に乗り移ったかのような圧倒的な読書体験。比較的平凡なストーリーよりも、このバーチャル体験を楽しむべきもの。スピルバーグの映画と近い発想。

 音の風景とは何か(山岸美穂、山岸健/NHKブックス)

比較的古い本だが、サウンドスケープ学の入門書として非常に高い完成度。

 数学的にありえない 下(アダム・ファウアー、矢口誠訳/文春文庫)

ジャンルを横断した膨大なアイデアや知見に満ちあふれた、良質な小説の雛形。

 数学的にありえない 上(アダム・ファウアー、矢口誠訳/文春文庫)

映画「ソルト」的なサスペンスに確率論、量子論、東洋思想などミックスした、ジェットコースター・ノベル。いまだかつてない読書体験に興奮。

 伝える本(山本高史/ダイヤモンド社)

スポンサーの誰よりも執拗に考え続け、ある種の凄みをちらつかせ、わずかな語数の言葉を押し売る。・・・というイメージが沸いてしまったが。当たらずとも遠からずか。コピーライターの独善的な小論。

 宇宙創成 下巻(サイモン・シン、青木薫訳/新潮文庫)

個人的には「ビッグバン・モデル」より「定常宇宙モデル」を採りたいが。

 宇宙創成 上巻(サイモン・シン、青木薫訳/新潮文庫)

「宇宙の起源」を巡る発見と論争の歴史。読み応えあり。

 インセンティブ(タイラー・コーエン、高遠裕子訳/日経BP社)

タイトルに騙された。 インセンティブにテーマを集約しているわけではない。薄味の行動経済学。

 芸術としてのデザイン(ブルーノ・ムナーリ、小山清男訳/ダビッド社)

名著とされるが、インスパイアされる部分がまるでなかった。

 シェア(レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース、小林弘人<監修/解説>、関美和訳/NHK出版)

「フリー」よりも圧倒的に面白い理由は、「アイデア次第では自分もビジネスを起こせるのでは?」という気にさせてくれる点だろう。豊富な実例とアイデア集。

 ザッポス伝説(トニー・シェイ、本荘修二監修、豊田早苗、本荘修二訳/ダイヤモンド社)

この手の企業の基本的要件は、宗教的情熱ということに尽きる。

 世界は分けてもわからない(福岡伸一/講談社現代新書新潮文庫)

サイエンス・エッセイストの真骨頂。相変わらず読み応えがある。

 学校をつくろう!(工藤和美/TOTO出版)

博多に作られたオープンスクール(小学校)の建設ドキュメント。新奇な試みに対し不安と期待の入り交じる地域住民と、先見性がありつつも柔軟な建築家とが、対話を繰り返し理想的な環境を作り上げていく。建築家自身の「自然体」がすべてに行き渡った、清々…

 成功するキャラクターデザインの法則(パイインターナショナル)作家性が強いジャンルなので、あまり活用できるポイントはなさそうだ。事例集としては楽しめる。

 三島由紀夫の来た夏(横山郁代/扶桑社)

生前、頻繁に下田を訪れていた三島由紀夫と交流のあった、地元の女性の回想記。彼女の生家である洋菓子屋はまだ健在。三島も好んだ名物のマドレーヌを食べに一度訪問したくなる。

 神話の力(ジョーゼフ・キャンベル&ビル・モイヤーズ、飛田茂雄訳/ハヤカワ文庫)

スター・ウォーズの関連書籍として。これを読んだからといってスター・ウォーズが作れる訳ではない。

 シビックプライドー都市のコミュニケーション(シビックプライド研究会/宣伝会議)

ふだんあまり目にしない事例が多く興味を引くが、本文がワンパターンなのがもったいない。

 がんばりすぎてしまう心理(加藤諦三/PHP文庫)

全巻制覇してしまいそうな勢い。

 クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回(杉山正明/講談社学術文庫)

世界史における「モンゴル」の復権。その端緒となるべき研究。

 ドキュメント《スター・ウォーズ》―ジョージ・ルーカスはいかに世界を変えたか (ゲリー・ジェンキンズ、野田昌宏訳/扶桑社文庫)

「スター・ウォーズ」制作の舞台裏をドキュメントした良書。信じ難いことに、当初は誰もが失敗作とみなしたという事実。ルーカスの苦悩ぶりと、栄光をつかみ取るまでのドラマが中心だが、マーチャンダイズに対する驚くべき先見性についても見逃せない。

 パワーロジック(内藤誼人/ソフトバンクパブリッシング)

この中から一つでも実践してみたいものだが、理想的なチャンスがそうそう訪れないのが現実。

 パワーマインド(内藤誼人/ソフトバンクパブリッシング)

心理学をベースに置いた交渉術のハウツー本。読み物としては面白い。