All About Me.(philipp keel/broadway books)

erevan2009-09-20

扉を開くと、性格、趣味、嗜好など、「自分」にまつわる様々な質問がズラリと並んでいる。読者はペンを取り、回答欄の余白に答えを書き込んでいく。といっても、女性誌にありがちな「あなたは◯◯タイプ」的なカテゴライズや、解説的なものは一切用意されていない。これは、答えを書きながら「自分とは何か」を問い直していくツールのような本なのだ。
質問の内容が、かなり異質である。「想像の中で殺してしまった相手はいますか」「両親があなたにしたことで、絶対に許せない出来事は」「これを言われたら、嬉しさのあまり飛び跳ね、絶叫したくなるような一言は」・・・。人生の中で、こんな問いを投げ掛けられた経験が少しでもあるだろうか?
面食らい、動揺し、ペンの動きが止まる。それでも書き込んでいくうちに、自分では予想もしなかった「内奥」が引きずり出されていることに気づく。慣れ親しんだ自分というものの奥底に、得体の知れない何かが大きく横たわっている。それこそが、自らの本質である。そこに気づくことで、人生の意義は大きく変わってくることだろう。まるで神と対話しているかのような錯覚に陥ること請け合いだ。