2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

 サウンドスケープーその思想と実践(鳥越けい子/SD選書)

眺めているだけで音像がイメージされる「図形楽譜(ビジュアルスコア)」の実例が満載。これだけでも十分手に入れる価値がある。

 ほんとうの環境問題(池田清彦、養老孟司/新潮社)

新潮系ならではの「ジジ放談」。なんとも清々しい。

 木の肉(伊藤公象/学芸通信社)

「多軟面体」シリーズなど、独自の有機的な造形で知られる陶芸家の散文集。陶芸自体は素晴らしいが、お世辞にも文才があるとは言えず。

 イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策1(ジョン・J・ミアシャイマー、スティーヴン・M・ウォルト、副島隆彦訳/講談社)

陰謀論からの脱却。まともな頭になるために。

 白痴、青鬼の褌を洗う女(坂口安吾/講談社文芸文庫)

再読した「白痴」の凄みと完成度には圧倒されたが、その他の作品群があまりにも凡庸で驚いた。想像の域を出ない女性心理のギクシャクした描写など、読んでいて相当イタい。この作家の本質がよく分からなくなった。

 フリー(クリス・アンダーソン、小林弘人・監修解説、高橋則明訳/NHK出版)

出版後に出た「週刊ダイヤモンド」の”フリー特集”を読んでしまえば、本編を読む必要はあまりないかもしれない。あまりにもスラスラ読めるので驚いた。

 映画ライターズ・ロードマップ(ウェンデル・ウェルマン、吉田俊太郎訳/フィルムアート社)

現役のハリウッド脚本家によるシナリオライティング講座。形式張らないカジュアルな語り口が魅力だ。一番興味を惹いたのが「プロット・ライン・グラフ」。映画の開始から終了までを1本の線で表したグラフで、ストーリー上の重要な転換点を目安となる時間と…

 世界を制した20のメディア(マーク・タンゲート、氷上春奈訳/トランスワールド)

テレビ、新聞、雑誌など世界の主要メディアに取材。その歴史的背景と独特のブランド戦略をひもとく。各パートの分量が少なく、ワンパターンの記述が多いが、ネット戦略なども押さえており参考になる。

 アリババ帝国(張剛、永井麻生子・王蓉美・王彩麗訳/東洋経済新報社)

中国系ネット企業「アリババ」の勃興を、創業者・馬雲の行動を軸に描いたノンフィクション。急成長の背後に孫正義の強い影響力があったことは驚き。

 つげ義春を旅する(高野慎三/ちくま文庫)

「ガロ」でつげ作品を担当していた編集者が、「ねじ式」「海辺の叙景」など主要作品の舞台を訪れ、その背景を語る。マンガ内のワンカットと現場写真との対比が興味深い。巻末に著者とつげ本人との対話もあり。

 不安のしずめ方(加藤諦三/PHP文庫)

扱っているテーマは本質的に一つなのだが、よくこれほどまでの切り口を生み出せるものだと感心する。メンタルケア界の安打製造機。

 やさしさを「強さ」に変える心理学(加藤諦三/PHP文庫)

テーマは「感情的恐喝」。毎度のことながら的確な指摘に唸る。

 ザ・ダルマ・バムズ(ジャック・ケルアック、中井義幸訳/講談社文芸文庫)

旅と饒舌。愉快で幸福で、最後は物哀しく。仏教までポップにしてしまうアメリカ人の洒脱にあきれる。訳も素晴らしい。