人類が消えた世界(アラン・ワイズマン、鬼澤忍訳/早川書房)

今更感のあるエコロジーというテーマに、未来SF的な視点を注入することで、驚くべきエンターテイメント化を成し遂げた快作。アイデアを具現化する圧倒的な取材力には脱帽。文章の創造喚起力を久しぶりに体感した。映像化してチープなCGを見せられると興醒め…

 エンタメ小説を書きたい人のための黄金パターン100(榎本秋/アスペクト)

図解の分かりやすさが秀逸。下手なマーケティング本を買うよりもはるかにビジネスに役立つ。

 幸福な食堂車(一志治夫/プレジデント社)

仕事ぶりも哲学もすべてがレガシーである。一緒に仕事したらかなり面倒くさい人なのだろうが。こんな人びとが次々と退場していった後に、どんな薄甘い世の中が待っているのかと思うと暗い気持ちにもなる。結局ぜんぶ自分でやらねばダメなのだ。

 鷲は舞い降りた<完全版>(ジャック・ヒギンズ、菊池光/ハヤカワ文庫)

娯楽小説として非常に楽しめた。古典的なメロドラマ的展開は韓流のような安心感がある。田舎娘の愛すべきキャラクターが心に残る。

 血と暴力の国(コーマック・マッカーシー、黒原敏行/扶桑社ミステリー)

驚くべきは、コーエン兄弟が小説をそのまま映画にしている事実。ストーリー展開、シチュエーション、キャラクター、どれもまったくそのままで、ほとんどこれはノベライズだ。行きずりの家出少女のところだけが変更されているくらいか。映画を見てから読むと…

 食の終焉(ポール・ロバーツ、神保哲生/ダイヤモンド社)

「食の危険性」をテーマにドキュメンタリーを作ることになったら、とにかく買っておくべき完全無欠の参考書。

 オートバイ(A.ピエール・ド・マンディアルグ、生田耕作/白水Uブックス)

バイクという有機的マシンの怪物性を始まりから終わりまで一直線の快楽で描き尽くす。これほどカッコイイ短編があったろうか?最後はやはりこうならざるを得ないとは思いつつ、そこを裏切って欲しかった。

 仏教、本当の教え(植木雅俊/中公新書)

日本で寿司文化が死に絶え、わずかにカリフォルニアに残ったとして、そこのアメリカ人シェフたちがアメリカ人に寿司道を説くようなことを、日本仏教はずっとやってきたということである。神妙な顔をして。

 殺す(J・G・バラード、山田順子/創元SF文庫)

内容はもはやどうでも良い。読める喜び。

 つながらない生活(ウィリアム・パワーズ、有賀裕子/プレジデント社)

テーマはキャッチーだが「だからどうする?」という肝心な部分に何ら提案性がなく、老人のぼやきにしか聞こえない。

 ソングライン(ブルース・チャトウィン、北田絵里子/英治出版)

分厚いのでなかなか手が伸びないが読みだすと面白い。旅の深度が凡百の紀行物と比べてはるかに深いから、はじめに「深夜特急」を読むかこっちを読むかで旅の方向性がまるで変わってしまうだろう。前者は対象年齢が20代だが、こちらは40才を過ぎてからで…

 生命の意味論(多田富雄/新潮社)

 生命を捉えなおす(清水博/中公新書)

 自己組織化と進化の論理(米沢富美子/ちくま学芸文庫)

テーマには興味あれど、内容が専門的過ぎて中途挫折。

 自己組織化する宇宙(エリッヒ・ヤンツ、芹沢高志、内田美恵訳/工作舎)

我々は宇宙そのものを創発しているのである。生きる意味を猛然と掻き立てる稀代の怪書。

 「戦略PR」の仕掛け方(玉木剛/PHPビジネス新書)

マスも効かないが、PRはもっと効かない。

 東条英機と天皇の時代(保阪正康/ちくま文庫)

日本の悪しき組織的機能不全。

 開戦神話(井口武夫/中公文庫)

濡れ衣を着せられた側からの反論は、どうしてもか細い。

 二重言語国家・日本(石川九楊/中公文庫)

日本文化論というおとなしい演目に、「書画」なる宝刀を手に乱入、猛烈に暴れまくりステージそのものを転覆しズタズタに叩き斬る。「fuck!」と高らかに叫ぶその刀の主は白髪の老人であった。独創性とは何か?その答えを一冊にするとこうなる。

 日本のいちばん長い日(半藤一利/文春文庫)

その辺のサスペンス小説よりはるかに読ませる良質な娯楽作品。

 社員をサーフィンに行かせよう(イヴォン・シュイナード、森摂訳/東洋経済新報社)

 増補 広告都市・東京(北田暁大/ちくま学芸文庫)

 貧乏だけど贅沢(沢木耕太郎/文春文庫)

 アーキトラベル(中谷俊治/TOTO出版)

 若き数学者のアメリカ(藤原正彦/新潮文庫)

 現代写真論(シャーロット・コットン、大橋悦子・大木美智子訳/晶文社)

 チベット密教(ツルティム・ケサン、正木晃/ちくま新書)

 シャイニング 下(スティーブン・キング、深町眞理子訳/文春文庫)

 いま、これからの映像術 近未来ビジュアルの予感(瀧健太郎/フィルムアート社)

 シャイニング 上(スティーブン・キング、深町眞理子訳/文春文庫)