2009-01-01から1年間の記事一覧

ユダヤ民族経済史(湯浅赳男/洋泉社新書)

前半、民族史のパートにプロパガンダ的なものを感じたが、後半は信頼するに足る情報量。陰謀説を一蹴するための教科書として。

プレゼンに勝つ図解の技術(飯田英明/日経文庫)

「ワンページ、ワンメッセージ」以外は、あまりに些末な表現テクニック。

企画書 つくり方、見せ方の技術(藤村正宏/あさ出版)

「企画書はラブレターである」。いまどきこんな恥ずかしいことを平気で言い切ってしまうところに、この本の最大の魅力がある。小児的であるが、真実を突いた言説の数々。なんだか「裸の王様」になったような気にさせられる。「コンセプトマップ」なる企画シ…

日本仏教史(末木文美士/新潮文庫)

仏教がこれだけ浸透している国でありながら、その歴史的変遷は絡み合った地下茎のように複雑で、まだまだ分からないことが多いのだという。さまざまな宗派が入れ替わり登場。教義の要点が紹介されているので、入門篇として有益だ。「一即多」の華厳経に興味…

組織で使える論理思考力(飯久保廣嗣/日経プレミアシリーズ)

「ロジカルシンキングは、役に立たないのでは?」という疑問への苦しい弁明。臨場感のあるケーススタディは、読み物として面白い。

デザインの輪郭(深澤直人/TOTO出版)

どんなに外形がシンプルであっても、それを生み出したクリエイターというのは、おしなべて饒舌である。原研哉しかり、川崎和男しかり。クリエイターの最大の資質とは「アカウンタビリティ(説明責任)」ではないかと思う。実際のビジネスを動かすのは、デザ…

「ツイッター」でビジネスが変わる!(ジョエル・コム、小林啓倫/ディスカバー)

「ツイッターでいかに自分を売り込むか」。いかにもアメリカ的な発想に満ちたノウハウ本。ツイッターの利用法そのものよりも、アメリカ人の肉食的な自己PRマインドを楽しむための本。

ロジカル・ライティング(照屋華子/東洋経済新報社)

「ロジカル・シンキング」の実践編。副読本としての価値はあるが、特に持たずとも良し。

ロジカル・シンキング(照屋華子、岡田恵子/東洋経済新報社)

聞きしに勝る名著。「課題」「答え」のみならず「相手の反応」を必須とする現実的な視点に目からウロコ。欧米的ビジネススタイルとは「論理構造=ゲームのルール」に乗っ取って物事を進める、ある種の法廷劇のようなものかも知れない。まずはこの定型を繰り…

新聞・TVが消える日(猪熊建夫/文春新書)

同じ毎日新聞出身の佐々木俊尚「2011年 新聞・TV消滅」とまったく同じテーマなので読み比べると面白い。こちらは自らが映像ビジネスに転身したこともあり、コンテンツ制作サイドからこの問題を捉えている。音楽、ゲーム産業などにも取材対象を広げ、なかなか…

2011年 新聞・テレビ消滅(佐々木俊尚/文春新書)

「水に落ちた犬を打つ」という言葉を思い出した。大まかな方向は著者の言う通りだとしても、マスコミの現状についてはデタラメと書き飛ばし満載。ロクな取材もせず、我田引水の記事ばかりで煽りに煽る。ここまでいい加減で何でもありの本は久し振り。

広告プレゼン術(井徳正吾/日本能率協会マネジメントセンター)

プレゼン関係のハウツーものの中では、かなり現実的な方法論を示した本。我々は欧米人じゃないんだから、自分の言葉で誠実に語ればそれで良いのである。映画制作の極意を聞かれて、伊丹十三が放った「人の求めるものを予期せぬカタチで提示すること」という…

on writing -a memoir of the craft (stephen king/pocket books non fiction)

幼少期のエピソードから、デビュー前後の苦労話、その後のブレイク、数々の名作の創作秘話など、ファンならずとも興味をそそられる、スティーブン・キング自らの手による自伝。書くことに対する真摯な姿勢が、作家を目指すすべての人に勇気を与えるだろう。…

「新しい歴史教科書」の絶版を勧告する(谷沢永一/ビジネス社)

老人は怒っている。イデオロギー的な側面からではない。信じ難いような間違いやウソ、デタラメが満載されているという、歴史学的的な視点から怒っているのだ。いや、実はそれも違う。怒りの本当の原因は、同じ自虐史観否定派であるにも関わらず、つくる会の…

生き残るための広告技術(Rob Graham、徳久昭彦監修/翔泳社)

行動ターゲティングの「今」を理解できる。最適のメッセージを,最適のタイミングで,最適のターゲットに送り出す。なるほど。

デジタルネイティブの時代(木下晃伸/東洋経済)

平成生まれのデジタル世代が、ついに成人し、これから世の中が様変わりするそうだ。新世代の若者たちに何らかのネーミングを付与し、旧世代とのギャップを強調するパターンは昔から繰り返されている。お年寄りは、煽られてしまうんだろうなあ。

写真の読み方(名取洋之助/岩波新書)

昔の人は、本当に物事を真面目に考えていた。もちろん時代性ということもあるが。

日々ごはん①(高山なおみ/アノニマ・スタジオ)

人気フードスタイリストのエッセイ集。人物的にはかなり面倒なタイプのようだが、文章は面白い。

鮨水谷の悦楽(早川光/文春文庫)

ミシュラン東京版で日本初の三ツ星を獲得した寿司店「水谷」。12ヶ月分の寿司ネタを紹介しながら、店主の鮨に対する知識とこだわりを描き出す。正統の美しさと安心感。実に勉強になった。

日米同盟の正体(孫崎享/講談社現代新書)

左翼に喚かれ、アメリカに骨抜きにされ、議論することすらタブー視されてきた「軍事」。この問題に対する忌避が、戦後日本に蔓延する空想平和主義の元凶だ。うすぼんやりとした社会的ムードと、個々人の主体性のなさも、すべてここに起因する。戦争について…

社会起業家に学べ!(今一生/アスキー新書)

いくつかユニークな事例もあるのだが、自分に酔っているもの、気負いばかりが目立つもの、悲壮感漂うものも多い。大企業に対して批判的な態度を取りながら、結局企業の広告出稿で食っている若者もいたり。なんだかなあ。真面目なのは分かるが、全体に楽しく…

私のように黒い夜(J.H.グリフィン、平井イサク訳/ブルース・インターアクションズ)

人種差別の根強く残る、50年代アメリカ南部。ひとりの白人ジャーナリストが、自らの肌を焼き、黒人になりすまして差別の実態をルポする。信じ難いアイデアを実行に移し、全米に衝撃を与えたノンフィクション。この行動力の前に、すべての物書きは沈黙する…

TWITTERマーケティング(山崎富美、野崎耕司、川井拓也、斉藤徹、松沢由香里/インプレスジャパン)

ネット系、通販系、飲食店や販売店など小規模なビジネス領域で実際に使用されているツイッターの現状報告。まだまだビジネス的には黎明期だが、ロングテール系企業との相性はかなり良いと思う。中小企業の救世主となるのか。

ツイッター 140文字が世界を変える(コグレマサト、いしたにまさき/マイコミ新書)

そんなにも繋がりたいのか?そんなにも孤独なのか?ハマる理由がまるで分からなかったが、この本を読んで少し認識を改めた。もしかすると、ここから新しい地平が開けてくるのかも知れない。コミュニケーションツールや情報ツールとしてではなく、表現ツール…

ロスチャイルド家 ユダヤ国際財閥の興亡(横山三四郎/講談社現代新書)

ユダヤ陰謀説の解毒剤。ロスチャイルド家が世界有数の国際財閥にのし上がったのは、数々の偶然に助けられた「結果論」である。そうでなければ、現在残っている分家がパリとロンドンだけで、ドイツ、イタリア、オーストリアが消滅していることの理由がつかな…

検索バカ(藤原智美/朝日新書)

なんとなくAERA的な社会時評センス。「ラクしないでアタマ使え」とメッセージは当たり前だが、50代半ばとは思えない柔軟で幅広い同時代感覚が、柳田邦男的なカビ臭さの発生を抑えている。ところで、空気を読む=察しの文化は、日本人の美徳ではなかったの…

戦争ができなかった日本(山中恒/角川ONEテーマ21)

いまだにこの手のアナクロな自虐史観本が出ていることに驚いた。公式文書の資料を当たるだけで、政治の真相が分かるわけもない。

スムリエ(小学館)

東急ハンズとのタイアップ本。学生や若手サラリーマン向けの様々なアイデアグッズが紹介されているが、ことごとく不必要。ムダな付加価値を楽しむ時代はとっくに終わっているはずだが。

キャラ化するニッポン(相原博之/講談社現代新書)

内容的には「アニメ化するニッポン」という方がふさわしいかも知れない。現実がアニメ世界を模倣することが当たり前となったこの国。そのトレンドを、社会学的な視点で表層的になぞった本。幼稚な客に幼稚なサービスを与えることで回り続ける、ネオテニー経…

心変わり(ミシェル・ビュトール、清水徹訳/岩波文庫)

パリ発ローマ行きの列車内で、様々な思考をめぐらす男の意識の流れを、2人称によって描いた独創的な作品。「時間割」のようなストーリー性はないが、小説というジャンルの実験性を存分に味わえる、これもまた一つの傑作だと思う。現在流通しているビュトー…