2006-01-01から1年間の記事一覧

ひとつ上のプレゼン(真木準編/インプレス)

「内容ではなく人柄で決まる」「クライアントに参加する余地を与えよ」。なるほど。

知の編集術(松岡正剛/講談社現代新書)

数々の知見があった。大いなるヒントを発見した。特に「要約と連想」。ただ、この人の文章は非常にまだるっこしい。キーワードが、どうもピタッとこない。言い換えても言い換えてもまだ曖昧。例えば「意識のカーソルを合わせる」。もっとうまい言い方がない…

ひとつ上のアイデア(真木準編/インプレス)

「広告なんて誰も見ていない」「表現のレベルで作りたいものなどない」と言い切る佐藤可士和だけが正気。他の人間は、広告の欺瞞性に無自覚な、所詮は広告村の住人。どうしてこうも表層的なのか。建築家・竹山聖氏の文章は唯一の救い。児島令子の愚直な仕事…

日本はなぜ敗れるのか(山本七平/角川ONEテーマ21)

驚愕。日本論、日本人論の聖典。ここにすべて書かれている。全日本人必読の書。

団塊サードウェーブ(博報堂エルダービジネス推進室/弘文堂)

マーケティング本という性格上、当然のことながら団塊世代を持ち上げているのだが、彼らは戦後文化の大いなる牽引車であると同時に、日本の伝統的文化の悪しき破壊者でもある。批評性の欠如がこの本を胡散臭いものにしている。

モンゴル歴史紀行(松川節/河出書房新社)

「遊牧民からみた世界史」をビジュアルで理解するためのサブテキスト。

東京チャイニーズ(森田靖郎/講談社文庫)

中国人による密航ビジネスの実態をリアルに取材。馳星周の「不夜城」的な内容を期待したが、思いのほか地味な話だった。だがこれはこれで面白い。以前大久保に住んでいたので情景がことのほかリアルに感じられるせいかも知れない。それだけに、変に小説仕立…

図解「孫子の兵法」に学ぶ(PHP研究所)

兵法自体の図解は分りやすいが、ビジネス現場での応用例に無理がある。抽象的な文言を自説に都合よく解釈しているだけ。ノストラダムスの大予言を思い出す。

コーチングルール(播摩早苗/PHP)

実に面白くて、すぐにでも試してみたくなるが、このままやったら間違いなく気持ちの悪い上司と思われる。こんなに素直な部下がいるとも思えないし、そういう意味では限りなく御伽噺的な世界。自己啓発セミナーを髣髴させる。それにしても、まるで腫れ物に触…

アカウントプランニング思考(小林保彦/日本経済新聞社)

一口に「クリエイティブディレクション」と言っても、日米でその内容が大きく違うことを知った。アメリカでは、企画部分はアカウントプランナーが担当し、クリエイティブディレクターは演出面にのみ注力するだけである。しかもクリエイティブブリーフはクリ…

なぜ人を殺してはいけないのか(小浜逸郎/洋泉社)

根源的であり過ぎるがゆえに回答を躊躇するような10の難問に、真正面から向き合った勇気ある書。「人は何のために生きるのか」から始まる問いに、冷静かつ粘り強く取り組んでいき、なるほどと膝を打つような回答を繰り出す著者の手腕に感服。「人間は関係…

新版大東京案内上(今 和次郎/ちくま学芸文庫)

著者は考現学の創始者。昭和初期の東京をつぶさに観察する。この景観を作り出す契機となったのが関東大震災で、その影響力は計り知れない。そしてまた、この姿も戦災で灰燼に帰す。

冒険投資家ジム・ロジャーズ世界バイク紀行(J・ロジャース/日経ビジネス人文庫)

紀行物が押し付けてくる、手垢のついた触れ合いや感動などはここにはない。あるのは徹底した合理主義に裏打ちされた、学習体験するための旅。旅に投資分析という切り口を持ち込んだ、マッシュアップの快作。訳出されなかった部分が気になるので原書に挑戦し…

不毛地帯(四)(山崎豊子/新潮文庫)

全巻読了。時代的空間的なスケール感の大きさ。企業小説でもあり教養小説でもある。シーンが映画的。読み応えがあった。読み終えるのが惜しかった。登場人物の心理の動きがしばし迷走し、読み手から距離が出始めたかと思いきや最後にぐいっと着地するあたり…

グーグル(佐々木俊尚/文春新書)

グーグルのPR的な部分が7割、残り3割が危険性に対する警鐘というところか。いいバランス。グーグルの目指すところは「広告出稿の最適化」とひとまず認識しておけば良さそうだ。毎日新聞の記者上がりということもあり、挿入されるエピソードが作り事っぽ…

日本の外交は国民に何を隠しているのか(河辺一郎/集英社新書)

「アメリカだけでなく日本も国連分担金を滞納している」という事実にまず驚く。巨額な分担金拠出を背景にして、日本が国連で様々な外交力を行使しているという事実に二度目の大きな驚きがある。したたかな戦略。なかなかやるではないか。著者が憤る理由が最…

「わたしと仕事、どっちが大事?」はなぜ間違いか(谷原誠/あさ出版)

「さおだけ屋はなぜ潰れないか」と近似した企画コンセプト。一見とっつきにくい専門分野のプロが、身近な例で分りやすく解説する新書的な内容。こちらは弁護士がごく初歩的な論理学を講義する。①議論を始める場合はまず議題をきちんと定義する。②議論と個人…

メディアは戦争にどうかかわってきたか(木下和寛/朝日新聞社)

著者自身が朝日新聞の記者だったので、かなりバイアスが掛かっているのだろうと思って読んだが、視点は極めてニュートラル。情報量が多く、数々の知見に溢れていて、整理された読みごたえのある名著。

自民党という不思議(別冊宝島)

サマリーとして便利。三木武吉を突っ込んで調べてみたい。

アキハバラ@DEEP(石田衣良/文春文庫)

次が読みたくなるストーリーテリングはなかなかのもの。対象年齢は15歳以下というところだが、そのくらいの年代向けに、現実世界に題材を採った品行方性なエンタテイメントを作れる才能は貴重だ。

言霊Ⅱ(井沢元彦/詳伝社黄金文庫)

前著を上回るこじつけぶり。ここに挙げられた内容は、「言霊理論」抜きで全部説明がつく。言葉の言い換えで実態をごまかし、状況をプラスに見せようとする行為は、世界中の人間がやっていることで、日本人に特有の現象ではない。「イラクの自由作戦」とか。

美しい国へ(安倍晋三/文春新書)

正しく中道。

グーグル・アマゾン化する社会(森健/光文社新書)

「ウェブ進化論」をより掘り下げた内容。グーグルについても、その危険性に言及している。情報量も多く、バランスの取れた本。

存在の耐えがたきサルサ<村上龍対談集>(文藝春秋)

対談集というよりも村上龍の臨床日誌。頭の中がこんがらがった村上龍に、各界のエキスパートが優しく丁寧なカウンセリングを施す。人間・村上龍を楽しむ本。村上の言い回しが誰かに似ている・・・ホリエモンだ。

THE EXCEPTIONAL PRESENTER(TIMOTHY J.KOEGEL)

LAの空港で購入。プレゼンテーションの極意が、この薄い本にすべて詰まっている。まさにバイブル。「皆さんが今日この場所から帰られるとき、一点だけ覚えておいて頂きたいことがあります」。それがすなわちプレゼンテーションで伝えたい最大のポイントな…

言霊(井沢元彦/詳伝社黄金文庫)

自衛隊のあり方や憲法改正についての言説は、今読めば極めて真っ当なのだが、この本が15年前に書かれたことを考えると、ここまで言い切っていたのは大したものだと思う。北朝鮮が拉致を認めるはるか前なのだ。時代は大きく変わった。ただ、中心テーマであ…

ヤバいぜっ!デジタル日本(高城剛/集英社新書)

ヤバいのは、高城氏本人。WEB2.0関連の本をまとめて読んできた目で見ると、内容のアナクロぶりにギョッとする。全体に漂うのは「10年前に予想された未来図」的世界観。「コピー&ペースト」「ハイブリッド・スタイル」・・・キーワードが相当に時代…

質問力(飯久保廣嗣/日経ビジネス文庫)

「二者択一から複数系の発想へ」。結果に対する原因は一つだけではない。考え得る様々な問題点を列挙した上で、重要度・緊急度の高いものから優先的に対応策を立てていく。この思考法が日本人にとってはなかなかに難しい。なぜか。日本語に複数形の発想がな…

「タブー」の世界地図帳(世界情勢を読む会/日本文芸社)

国際情勢のサマリーを押さえるために常備したい一冊。巻末の参考文献がそのまま推薦図書リストとして使える。

談合しました(加藤正夫/彩図社)

元警備会社の経理マンによる、談合の実態を描いたリアルドキュメント。常態化した談合、突然の強制捜査、その顛末に至るまでが当事者ならではの具体的かつ生き生きした筆致によってつまびらかにされる。ストーリーも面白いのだが、この作者、人物描写がなか…