血と暴力の国(コーマック・マッカーシー、黒原敏行/扶桑社ミステリー)

驚くべきは、コーエン兄弟が小説をそのまま映画にしている事実。ストーリー展開、シチュエーション、キャラクター、どれもまったくそのままで、ほとんどこれはノベライズだ。行きずりの家出少女のところだけが変更されているくらいか。映画を見てから読むと、より味わい深いのだが、最後の最後で登場人物たちの行動原理を解き明かしてしまったのが小説の細大の汚点。これにて通俗化してしまった。