2007-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ブッシュの戦争(ボブ・ウッドワード・伏見威蕃訳/日本経済新聞社)

国家中枢にテレビカメラが入り込んだかのような臨場感に、思わず圧倒されそうになるが、ここに書いてあることは決して「事実」ではない。関係者へのインタビューや膨大な取材内容を元に創造された一つの「仮説」、もっと言えば”見てきたようなウソ”である。…

ブランド広告(内田東/光文社新書)

広告によって人為的に作られるブランド。薄い本だが内容は相当に濃い。

希望格差社会(山田昌弘/ちくま文庫)

食事は母親の手料理、エアコン完備の個室からアルバイトに通い、ここではないどこかを探して生き続ける。日本にフリーターやニートが多いのは、比較的裕福な親と同居することが可能だからである。著者の視点は慧眼に値するが、全篇にあふれる若者擁護の甘っ…

百鬼園随筆(内田百輭/新潮文庫)

百輭入門書としてこの本を選んだのは失敗だったのだろう。百輭自身をモデルにした男が、毎日ぶらぶらしながら酒を飲み、借金を重ねるだけの、取るに足らない身辺雑記の連続。ファンなら思わずニヤリとするたぐいの筆致なのだろうが、いかにも「軽妙洒脱でご…

尾崎翠集成(上)(中野翠編/ちくま文庫)

ビョーキの人と密室に置かれ、彼女の奇怪な妄想を一晩中聞かされているような気分になる。純度100%の自意識で埋め尽くされた物語空間。読み手には、逃げ場が1ミリも用意されていない。読後の鉛のような疲労感は島尾敏雄に一脈通じるが、こちらには更に…

思考の整理学(外山滋比古/ちくま文庫)

インターネットが登場する以前の本だけに、今現在どれほどの有用性があるかは疑問だが、ビジネス雑誌の”企画術特集”は、いまだにこの本と川喜田二郎「発想法」のバリエーションである。そういう意味では、アイデア開発上の基本的なヒントは網羅されていると…

書くスキルを学べ!!(P.フォーサイス/ディスカヴァー)

簡単に理解できることが、簡単に身に付くわけではない。かくしてビジネス本とゴルフ雑誌は売れ続ける。