2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「天下り」とは何か(中野雅至/講談社現代新書)

批判的な部分はほぼ皆無、やんわり擁護に回っている時点でアウトだが、R25あたりの読者には向いているのかも知れない。

ロシアの論理(武田善憲/中公新書)

ロシアの政治中枢のことなんか、外からじゃ何も分からないのだと宣言している時点ですごい。言い換えともったいぶったキーワードばかりでほとんど何も書いていない。新書濫造の数合わせ的な企画か。

人を動かす質問力(谷原誠/角川ONEテーマ21)

コミュニケーションの原点は「質問」にあるのではないか、と思うくらいの有用性。これ一冊あれば、日常の会話術からビジネスシーンの交渉術まで様々に応用が効く。ノウハウ本の域を超え、優れて実用的な自己啓発本。

ケガレ(波平恵美子/講談社学術文庫)

フィールドワークの事例報告は、現代から見るとかなりエキセントリックなものばかりで、次第に食傷してくる。見事なまでに消失したとはいえ、ほんの30年前まで行われていたこれら習俗のドープな世界。アスファルトに封じ込まれた、禍々しき我が国の実相。

消費税のカラクリ(斎藤貴男/朝日新書)

「消費税論の決定版」と豪語するが、中小零細企業サイドに立って感情論を振りかざし、消費税反対を訴える極めてイデオロジカルな本である。この共産党的発想。対案は累進税率を20年前に戻し、事業仕分けをし、各種税率を一律1%ずつ上げることだそうだ。

理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性(高橋昌一郎/講談社現代新書)

「知性の限界」に比べると小難しく、堅苦しい。専門性が高すぎて、置いていかれる部分も。これを読まなくても、エンタメとしての完成度が高い「知性の限界」一冊で十分お腹いっぱい。

知性の限界 不可則性・不確実性・不可知性(高橋昌一郎/講談社現代新書)

哲学、論理学、言語学、物理学、生物学、宇宙科学・・・などなど。理系と文系の垣根を取っ払い、各種ジャンル総動員で楽しむ知的異種格闘技本。ハイレベルな内容を徹底してエンタテイメント化した恐るべき手腕。

家計・非常事態宣言(萩原博子/朝日新書)

うまい話にご用心、なのである。勝間和代がさんざん煽った投資信託には少々痛い目にあったが、FXや金投資はおろか住宅ローンや生命保険にも手を出していない自分に「やっぱりね」と妙な安堵感を持たせてくれた良書。地道にコツコツ貯金です。

ジョブズはなぜ天才集団を作れたか(ジェフリー・L・クルークシャンク、徳川家広訳/講談社)

アップル/ジョブズ関連の既出本と唯一差別化できるのは、各章の最後にある「教訓」パートなのだが、これが100%役立たない。天才による独裁企業から一体何を学べるというのか?

李さん一家/海辺の叙景(つげ義春/ちくま文庫)

「沼」のエロス、「海辺の叙景」のセンチメンタリズム。この2作だけでも充分に買い。

コーカサス 国際関係の十字路(廣瀬陽子/集英社新書)

以前から惹かれていたエリアだが、本書によって概略がはっきりした。要点を余すところなく簡潔に押さえた良書。アルメニア以外も是非訪れてみたいものだ。

顧客の信頼を勝ちとる18の法則(山岡隆志/日本経済新聞出版社)

「キズナのマーケティング」で賞賛され、アドボカシー・マーケティングという新味あるワードに惹かれて読んだが、特に得るものはなし。数少ない成功事例を説得材料とする、凡百のマーケ本と大差ない手法論。

イノベーションの神話(scott berkun、村上雅章/オライリー・ジャパン)

冒頭に掲げられた賞賛コメントの嵐に期待が膨らむが、大したことは書かれていない。これを読んで鼓舞されるのは、さしたるアイデアもない夢見る学生たちだけだろう。イノベーションとは、ごく一部の偏執狂的な天才によって生み出されるものであり、一般人が…

ogilvy on advertising(david ogilvy/prion)

広告に科学を持ち込んだ男、デビッド・オグルビー。きらびやかな広告黄金時代を眩しく眺める。

会社というおかしな場所で生きる術(柴田英寿/実業之日本社)

再読。サラリーマンであることをもっと利用せよ、という主張は今読んでも心強い。この著者は今にして思えば勝間和代的なポジションにいたとも言えるが、最近はどうしているのか?本棚整理で処分しようと思ったがキープ。

異常とは何か(小俣和一郎/講談社現代新書)

現役の精神科医が考察する、精神医学の根本的諸問題。抗うつ剤にまつわる製薬資本の「需要誘導」や、精神障害の発生源としての「家族内価値観」など、いくつかの素材は面白い。高尚な哲学的テーマを掲げた割に思想的には凡庸。

裸形のチベット チベットの宗教・政治・外交の歴史(正木晃/サンガ新書)

「平和な仏教国」のイメージが覆されること必至。血なまぐさい権力闘争、謀略、奸計、政略の数々。チベットは、生々しい欲望がダイナミックにぶつかりあう、人間くさい国家だったのだ。巻末のブックリストが充実。モンゴル含め、この国との距離感が一挙に縮…

「兵士」になれなかった三島由紀夫(杉山隆男/小学館文庫)

自衛隊に体験入隊した当時の三島をコーチ役など複数の関係者が語る。マッチョイズムの裏にある肉体的コンプレックスなど、語り尽くされたテーマをなぞるような感じで、特別な発見はない。心温まる、切ない昔話。極めて演劇的な、愛すべきキャラクターだった…

<盗作>の文学史(栗原裕一郎/新曜社)

ハードカバーで500ページ弱。労作には違いないが、どうでもいいようなことを、よくぞここまで調べ上げたという感じ。文学に限らず芸術全般がバリエーションを楽しむものなんだから、こんなところに教条主義を持ち込むのは愚の骨頂。パクられたと騒げば騒…