2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

クラブ・ミュージック名盤400(小川充監修/リットー・ミュージック)

88年から08年まで、20年間に及ぶクラブ・ミュージックシーンの流れを、数々の名盤をレビューしつつ概観。ぶっとい幹が何本も生え揃っていた「分かりやすい時代」から、急速に毛細化し複雑に絡み合っていく「混沌とした現在」へと至る道。

バナナと日本人(鶴見良行/岩波新書)

たった1本のバナナを調べることから、グローバリズムの実態がほの見えてくる。「搾取-非搾取」の左翼的な論調はさておき、名著と呼ばれるだけあって、さすがに画期的な視点。30年近く前の本だが、今の小中学生に経済の勉強をさせるために、これほどふさわ…

アンビエント・ミュージック1969-2009(三田格、STUDIO VOICE編集/INFASパブリケーションズ)

全体に漂う、何とも言えない”カビ臭さ”。古い感性のライターが書いている、ということに尽きるのだろう。いい加減なレビュー。馴れ合いの文体。ジャンルの価値を貶めているような気すらする。そもそも、通を気取りたかったのか知らないが、誰でも思い浮かべ…

東京の地霊(鈴木博之/ちくま学芸文庫)

かつて、この本の解説を担当した藤森照信は、「東京に地霊はない」と言い切った。著者にケンカを売るような解説など前代未聞だが、「地霊とは精霊のようなものであり、東京のそれはとっくに死に絶えている」という藤森の主張は、あまりに素朴な自然観に根ざ…

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(マイク・マクゴニガル、クッキーシーン監修/P-Vine BOOKs)

マイブラの大ファンであるアメリカの音楽ライターが、ケヴィン、ビリンダなどバンドメンバーやレーベル関係者などに取材し、伝説的名盤「loveless」の制作過程を明らかにしていく。 このアルバムについては、リリース後から相当聞き込んできたし、20世紀の…

All About Me.(philipp keel/broadway books)

扉を開くと、性格、趣味、嗜好など、「自分」にまつわる様々な質問がズラリと並んでいる。読者はペンを取り、回答欄の余白に答えを書き込んでいく。といっても、女性誌にありがちな「あなたは◯◯タイプ」的なカテゴライズや、解説的なものは一切用意されてい…

ホリエモン×ひろゆき「なんかヘンだよね・・・」(集英社)

「中2が大人になった部屋だね」。ホリエモンの自宅を訪問した水道橋博士が放ったひと言だそうだ。この本の内容も、まさに大人になった中2がファミレスで繰り広げそうなヨタ話。マスメディアに関する話題が色々出てきて、少なからず興味を持ったが、広告関…

実録・アメリカ超能力部隊(ジョン・ロンスン、村上和久訳/文春文庫)

そもそもがトンデモ系のネタということもあり、取材対象の言動はすべからく怪しげで、信憑性ゼロ。くだらない取材への適当な回答を真に受けて、さらなる疑惑を妄想する、危ないジャーナリストの空回り日記?引っ張るだけ引っ張って、真相は分からずじまいと…

27人のすごい議論(「日本の論点」編集部編/文春新書)

すべての議論が、いまや古式騒然とした佇まいである。少なくとも安倍政権の頃までは、この手の議論を真剣に読み込んでいたはず。気づかぬうちに時代のパラダイムは変更されていて、民主党政権誕生はその結果でしかなかったのかも知れない(福田〜麻生は調整…

堕落する高級ブランド(ダナ・トーマス、実川元子訳/講談社)

グローバル経済の隆盛に伴い、利益至上主義の巨大産業と化したファッション業界。コングロマリットの支配、露骨なPR戦略、著しい品質低下など、激しく変貌する有名ブランドのドロドロとした実態を、驚くべき取材力により暴き出した労作。今にして思えば、こ…

カポーティ短編集(河野一郎 編訳/ちくま文庫)

最近すっかり小説を読まなくなったが、これは面白かった。旅、幼少期の記憶、都会の孤独。「カットグラスのような硬質な文章を、母音が多く暖かみとふくらみを感じさせる日本語に訳す」ことに苦心したという訳文は、非の打ち所がない素晴らしさ。

虚像に囚われた政治家 小沢一郎の真実(平野貞夫/講談社α文庫)

これを読む限り、小沢一郎は希代の”英雄的政治家”である。事実なのか、単なるまやかしなのか。ついに政権奪取した今こそが、本書を読む絶好のタイミングだ。もしこの本の内容が真実だとしたら、我々の頭にこびりついた小沢のダーティイメージは、与党とマス…