2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

女性の品格(坂東眞理子/PHP新書)

ごく平凡な、「マナー辞典」のダイジェスト版といった感じのこの本が、ミリオンセラーになってしまうことの異常。

太陽と鉄(三島由紀夫/中公文庫)

自己の神格化。その予告編。

東欧SF傑作集(下)(創元SF文庫)

チェコスロバキア、ユーゴスラビア、東ドイツ、ルーマニア篇。上巻同様、作品レベルはかなり低い。「時空への脱出」(アドリアン・ロゴズ/ルーマニア)だけは完成度の高い秀作と言えるが、この一作のためだけに購入する必要はないだろう。解説で紹介されて…

シネマ坊主(松本人志/日経BP社)

「笑いのプロ」に映画を評価させてみる、という企画意図は秀逸だと思う。インタビューテープを元にライターが大幅に加筆していったのだろう。実際の本人コメントと、ライターの創作部分とがほぼ明確に分かってしまう。松本自身が映画製作を手掛ける布石にも…

天授の子(川端康成/新潮文庫)

単行本未収録作品を集めた、死後編纂の拾遺集。表題作以外はよほどの川端ファンでもないと楽しめないだろう。構成も決めずに書き出したような「故園」は、途中で筆が路頭に迷い、弱り果てた作者の愚痴らしきものが続く。「東海道」は、古典の教養が延々と垂…

東欧SF傑作集(上)(創元SF文庫)

なかなか紹介される機会の少ない、東欧SFの短編アンソロジー。上巻はポーランド、ハンガリー、ブルガリア篇。どれもアイデアが牧歌的で稚拙、習作レベルといったところ。

アルビン・トフラーの戦争と平和(アルビン・トフラー、ハイジ・トフラー/徳山一郎訳・フジテレビ出版)

90年代前半に書き下ろされた本書が、現在に至るまでの世界動向を正確無比に予言していることに驚く。これをシナリオにして世界は動いてきたのではないか、と思わせるほどの凄みがある。「経済分野の技術革新が軍事技術の発展を促し、それぞれの領域が相互…

モーパッサン短編集(3)(青柳瑞穂訳/新潮文庫)

360篇に及ぶ中・短編から、戦争ものと怪奇ものを選りすぐった作品集。特筆すべきは、普仏戦争に題を取った悲劇の完成度。巧みなプロット、リアルな描写、深い余韻を残すクライマックス。わずか10ページ程度の小品に、人間存在への鋭い観察眼と物語のダ…

カフカ短編集(池内紀編訳/岩波文庫)

名作「掟の門」「橋」など寓話的短編を集めた作品集。カフカと芥川龍之介とボルヘスが自分の中で一つに繋がった。良質な訳文。

孤独な旅人(J・ケルアック/河出文庫)

「路上」後に発表された小品集。魅力的な作品が並んでいるとは思うが、訳のリズムがぎこちなく、なかなか世界に入り込めない。ケルアックを和訳することの限界を思う。あくまで参考書として読み、原書を当たるべきだろう。