2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

渡部恒雄メディアと権力(魚住昭/講談社文庫)

驚愕。権力に執着した怪物。ここから戦後政治・文化史を逆照射する必要がある。ここまで書いて、なぜ著者は抹殺されないのか。

食肉の帝王(溝口敦/講談社+α文庫)

読み応えあり。社会の裏側では実に凄まじいことが行われている。テーマがテーマだけに、著者が細心の注意を払いつつ執筆しているのが良く分かる。淡々と事実のみを記そうとし、内容が批判に傾いてくると絶妙のバランスで持ち上げる。只ならぬ緊張感。週刊誌…

どっからでもかかって来い!(日垣隆/WAC)

売文業と自称するだけあって、先を読ませる力はなかなか。ギャンブラー的な日常と、結構まじめな仕事ぶりとの対比が面白い。インタビューに望む際は、関連書籍を可能な限り読み漁り、一度そのデータを捨て、それでも聞きたい一点に絞って質問する、といった…

踊る名言(丸茂潤吉/リーダーズノート)

名言に解説は不要、ということが良く分かる。背景説明ならまだしも、著者の独りよがりな憶測や想像に付き合っているヒマはない。唯一面白かったのは、一部の名言が実は本人の発した言葉でなかったり、意図的に改変されていたりするケースを述べた部分。そこ…

草迷宮(泉鏡花/岩波文庫)

猛烈な睡魔に襲われつつ、なんとか読了。どれだけ近代化が進もうとも、ひと皮めくればそこには日本特有の怪異なる世界が長々と横たわっている。「東電OL殺人事件」などは、極めて鏡花的な文学作品と言えまいか。

YouTube革命(神田敏晶/ソフトバンク新書)

旬の話題を取り上げて、さらさらと2時間くらいで読めるものにする。正しく新書的な企画。内容もすぐに忘れてしまうが。

ビジネス版悪魔の辞典(山田英夫/メディアファクトリー)

著者は早稲田大学ビジネススクールの教授。諧謔性と文章力、用語のバランスなどあまりにも完成度が高い。単なる名義貸しで、中身はライターが書いているのだとしても、そのライターこそ只者ではない。どっちにしても名著。

言いまつがい(糸井重里/ほぼ日ブックス)

内容があまりにも幼稚。ある意味、現代の大衆の笑いのレベルを反映している。ほぼ日手帳を買ってしまうような人たちの笑いのセンス。明らかにツクリだろうというネタも多い。一度読んだらもうオシマイ。糸井重里の残滓。

宇宙船地球号操縦マニュアル(バックミンスター・フラー/芹沢高志・ちくま学芸文庫)

タイトルが秀逸。膨大な情報量を濃縮した結果、この薄さになったという感じ。「エッセンス」の物理的表現。人間性が巨大すぎて笑うしかない。

だまされない<議論力>(吉岡友治/講談社現代新書)

予備校の講義を受けているようだ、と思っていたらやはり代ゼミの元講師。歯切れがよく、名言至言が随所に。論理の完成度は非常にが高いが、この著者の知的レベルに到達するのは至難の技。一子相伝。松岡正剛に近いものを感じる。

タイタニックは沈められた(ロビン・ガーディナー&ダン・ヴァンダー・ヴァット/内野儀・集英社)

タイトルから想像されるような陰謀説の本ではない。事故の発端から事故後の裁判までを、膨大な資料にあたって詳細に取材したノンフィクションである。著者たちが言うように、タイタニックにまつわる数々の陰謀説を検証・反証するための基礎資料とするべく執…

錯乱のニューヨーク(レム・コールハース/鈴木圭介・ちくま学芸文庫)

文学的な建築史、あるいは建築的な文学。いずれにしても奇書。再読を強要する、ある種の傲慢。

議論のウソ(小笠原喜康/講談社現代新書)

第1章「統計のウソ(少年非行)」は読み応えがあり期待させるが、以後失速。「ゲーム脳」「携帯電話(心臓ペースメーカー)」「ゆとり教育」・・・と、章立て・内容にどうもムリがある。主張も次第に弱まって「世の中には一概にウソともホントとも言い切れ…