2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

加島祥造詩集(思潮社)

「現代詩手帳」に掲載されていた「a light verse」に惹かれて購入したが、残念ながら他の詩はそれほどのものではなかった。散文の中に少しいいものがある。解説によれば「a light verse」は頭韻を踏んでおり、作者もそこに意義を見出していたということだが…

情報と国家(江畑謙介/講談社現代新書)

国家による情報操作に対し、もっと個人がリテラシーを持て、という。だがその方法論が「常識を持って疑え」ではあまりに弱い。期限を盾に取られたとき、懐疑主義ほど無力なものもないと思う。

子どもの言いぶん(くまもと親と子の教育相談室/川島書店)

新聞連載のコラムが元になっているので仕方ないのだろうが、全体に内容が教条的すぎる。せっかく取り上げた相談事例は変に抽象化され、「〜したいものだ」「〜でありたいものだ」的な教師や親としての心構えを述べて終わってしまう。

戦争の常識(鍛冶俊樹/文春新書)

米海軍のニミッツ級空母1隻の建造費=約5兆円=日本の防衛費1年分。昭和17年9月、米国オレゴン州沿岸で日本の潜水艦伊二五から離陸した飛行機が米本土へ最初で最後の空爆。GPSは米軍が開発したシステムの一部を民間に開放したもの・・・など、トリ…

低度情報化社会(コモエスタ坂本/光文社)

ネット社会をテーマにした雑文の集積。結構鋭い視点があるし、なによりキャッチフレーズの作り方がうまい。最後の「未来への展望」風の章はとってつけた感じで不要。

ハイデガー (J・コリンズ/椋田直子訳・現代書館)

ナチスを信奉していたこと。エコロジー思想と親和性が高いこと。読後に残ったのがその程度というのも空しい。ハイデガーを論じた英文を日本語訳で読むことの不毛。

自民党幹事長室の30年(奥島貞雄/中公文庫)

自民党支配の楽屋裏。戦後政治を学習する上でサマリーともなるべき良書。

気まぐれコンセプトクロニクル(ホイチョイ・プロダクションズ/小学館)

テレビと広告がやりたい放題だった時代。日本人が、というより人間がどこまで低俗になれるか、の壮大な実験記録。祭りに浮かれた姿を、祭りの後に見るのは空しい。当時これを読んで笑ったろうか?今ではまったく笑えない。軽薄には違いないが、骨のある軽薄…

危ない写真集246(飯沢耕太郎/ステュディオ・パラボリカ)

10年以上前だったら、この本も相当危なかったのかもしれない。あらゆる情報が検閲なしで手に入ってしまうネット時代には、もはやインパクトが希薄。我々の感性はどうしようもないレベルまで爛れている。

アートを書く!クリティカル文章術(杉浦賢彦・暮沢剛巳・前島秀国/フィルムアート社)

評論は「学習」できるのか?デビュー時から名人芸を要求されるような世界ではある。

官僚とメディア(魚住昭/角川ONEテーマ21)

「耐震偽装事件」「村上ファンドとホリエモン」「NHK番組改編問題」・・・。巷間伝えられる事件の顛末が、著者の手にかかると180度様相を異にする。逆説的とすら言える真相。独自取材によるため、にわかには信じられないような内容も多々ある。著者に…