2006-01-01から1年間の記事一覧

モオツァルト・無常という事(小林秀雄/新潮文庫)

確かに批評「美学」だ。批評文というより、それぞれが一個の文学作品である。だが決して自己の世界に閉じているわけではない。読後、モーツァルトを聞きたくなった。西行を読みたくなり、雪舟の画を実際に見てみたいと思った。そう思わせるところがこの人の…

Web2.0でビジネスが変わる(神田敏晶/ソフトバンク新書)

巷を賑わしている「ウェブ進化論」「テレビCMの崩壊」などの隙間を埋めるような内容。余裕があれば買ってもいいが、特に読む必要もない。独自の視点は感じられず、便乗本とみなされても致し方無し。途中でライブドアPJの宣伝が入る。広告批評の部分は単…

ロースクールの挑戦(大宮フロンティア・ロースクールⅠ期生有志)

大宮法科大学院大学のいわばPR本。司法改革の掛け声に乗って鳴り物入りで設立されたはいいが、 その後逆風。せっかく灯った明かりを消さぬよう、既存の生徒を鼓舞し、大学の存続を賭けて(?) 存在感をアピールするため発行されたと思われるが、逆効果。…

1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方(滝井秀典/PHP)

売れるキーワードを発見して、そのキーワードに合わせて起業しろ、というスゴイ理論。 そんなはずないだろ・・・と思いつつ最後まで読まされてしまったから本気にする人間も多いことだろう。1億稼げるオイシイ話を率先して世の中にバラすお人好しはいない。

ウェブ進化論(梅田望夫/ちくま新書)

ウェブ社会の未来像に対して根本から楽天的になれるかどうか。踏絵を踏んで見て下さい、と言われているようだ。経済モデルを根本から覆す、一発逆転の世界が実現するかも知れない興奮。100%の楽天性がこんなにも泣けるものだとは。

戦争見物(小磯文雄/飛鳥新社)

タイトルどおりの本。バックパッカーに毛の生えたような自称ジャーナリストが 世界の紛争地に出掛けていっては人様に迷惑を掛ける。こんなにいろいろな場所へ 足を踏み入れていながら写真もインタビューも大したものが一つもない。 実際、素人レベルではこの…

テレビCM崩壊(JOSEPH JAFFE/織田浩一・翔泳社)

なかなか本題が始まらず、イライラしつつ読み続け、結局最終ページまできてしまった。 特に目新しい話は出てこない。この程度ならネットで拾い集めた記事で書けそうだ。 タイトルも帯も大袈裟。誇大広告。マーケティング2.0をネタに一儲けというとこか。

日本書紀はなにを隠してきたか(遠山美都男/洋泉社)

「大化改新・クーデターの首謀者は誰か」「卑弥呼は個人名にあらず」・・・。 スキャンダラスな見出しがずらり。かなり刺激的な内容だとは思うが、 日本史の基礎知識がないのでどれほどの凄さか分らないのが悔しい。 聖徳太子虚構説なるものが存在するのも新…

世界のニュース 意外なウラがわかる本(ロム・インターナショナル/こう書房)

全然ウラが書いてない。「儲かる奴がいるから戦争が起きる」程度の俗説・憶説のみ。 中学生向け。

既存企業vsドットコム企業(MARY MODAHL/碓井聡子/村田春代・ソフトバンク)

変化の激しいネットビジネス。6年も前の本を今あえて読むのも面白い。 なにしろこの本にはグーグルの名前が一度も出て来ないのだ。 既にヤフーやマイクロソフトがやってるんだから検索エンジンの開発なんてまるで無意味、 と警鐘を鳴らしていたりする。 ネ…

在日韓国人の終焉(鄭大均/文春新書)

問題点が簡潔に整理され、論旨も明快。文章がスラスラと頭に入っていく。 語り口は穏やかなのだが、言説のキレは非常に鋭い。新書としての完成度が高い。

プロ作家養成塾(若桜木虔/ベスト新書)

文章教室系の本で「添削前」より「添削後」の方が良くなっている例を見たことが無い。 この本もご他聞に漏れず。紋切り表現オンパレードのデコラティブな「添削後」。 読み進むほどに、書こうという気持ちが萎えていく。

「個」客革命(パトリシア・シーボルト/有賀裕子/翔泳社)

綿密な取材力に裏打ちされた、豊富なケーススタディ集。 ネットビジネスの世界的な動向がダイナミックに描かれており、読み応えがあるが、 今さら大発見のように「お客様は神様」と繰り返す姿にはビックリ。 彼らのマーケット事情と日本のそれとは根本からし…

PDの思想(PDの思想委員会/ラトルズ)

関係者には興味深いかもしれないが、一般読者には辛い内容。読者を楽しませるという視点の欠けた、内輪向けの文章。 ページデザインが単調で退屈。本を取り巻く気の重さ、黴臭さ。 中ではオリンパスのO-product、川崎和男の車椅子<CARNA>の項が唯一…

ライブマーケティング(博報堂研究開発局 田中双葉・小野彩/東洋経済新報社)

実例中心に、良くまとまっている。成功事例のほとんどがメガブランドのものではあるが。 なぜ海外のキャンペーンが面白いかといえば、受け入れるオーディエンスの質が高いからである。 営業からR&Dへ転出した田中氏の経歴が興味深い。

遊牧民から見た世界史(杉山正明/日経ビジネス文庫)

労作。西欧中心の世界史を学ばされてきた頭を、脱洗脳するのにうってつけの書。 「アメリカには歴史が無い」と苦虫を噛み潰す欧州も、19世紀後半までは世界史上の辺境に過ぎなかった。 そもそも「教科書の世界史」自体が50年程度の歴史しかないのだ。疑…

韓国併合(海野福寿/岩波新書)

通史・年表を短時間で理解するため読み出したが、日本側の行動にいちいち否定的な形容を加えているのが邪魔くさく、その部分を選り分けながら読まねばならないのが面倒。あくまで「韓国=善良な被害者、日本=悪の権化」で行きたいらしいが、読み手に正しい…

イノセンス創作ノート(押井守/徳間書店)

難解な話をグダグダと。もったいぶってなかなか話が前に進まない。でもやはり読んでしまう。「攻殻機動隊」がデジタルを売り物にしている割にはCGが圧倒的に少なく、ビデオエフェクトでそれらしく見せている、というエピソードが面白い。「イノセンス」と…

商品の裏側に(六耀社)

大日本印刷の手掛けた様々なパッケージの実例集。関係者の生き生きとしたコメントが素晴らしい。ライターの力は相当に高いと見た。吉原佐也香要チェック。ミシン針のパッケージ開発のくだりが秀逸。

この人から買いたいと思わせるプロの接客(山田みどり/日本実業出版社)

一気読み。実例豊富。「以心伝心」を要求される日本の接客業関係者に同情の念を禁じ得ず。接客業向けの「簡単ストレッチ」が結構役立つ。