なぜ人を殺してはいけないのか(小浜逸郎/洋泉社)

根源的であり過ぎるがゆえに回答を躊躇するような10の難問に、真正面から向き合った勇気ある書。「人は何のために生きるのか」から始まる問いに、冷静かつ粘り強く取り組んでいき、なるほどと膝を打つような回答を繰り出す著者の手腕に感服。「人間は関係性的存在である」。そう、確かにそうなのだ。後半、売春の是非あたりからやや議論に強引さが目立つようになるのと、タイトルに対する回答が結局うやむやになってしまった点が残念。