質問力(飯久保廣嗣/日経ビジネス文庫)

「二者択一から複数系の発想へ」。結果に対する原因は一つだけではない。考え得る様々な問題点を列挙した上で、重要度・緊急度の高いものから優先的に対応策を立てていく。この思考法が日本人にとってはなかなかに難しい。なぜか。日本語に複数形の発想がないからだ、と著者は言う。「おい、この背景には、どういう『諸』問題があるの」。確かに言わないわな。ここ最近読んだものの中で、最も目からウロコの発想。理論パートはかなりの説得力だが、応用パートでがっくりくる。「文章読本」系の本で、先生自らの添削例がまるでダメなケースに似ている。「必ずしもこのやり方がベストではなく、日本には日本のやり方があるのも確か」と繰り返し言い訳するのも余計だ。二者択一思考の悪しき例として、テレビのインタビュアーが出てくるのだが、このモデルは間違いなく田原総一郎。彼の作為的なインタビュー技法がよく理解できる。