ロスチャイルド家 ユダヤ国際財閥の興亡(横山三四郎/講談社現代新書)

erevan2009-10-26

ユダヤ陰謀説の解毒剤。ロスチャイルド家が世界有数の国際財閥にのし上がったのは、数々の偶然に助けられた「結果論」である。そうでなければ、現在残っている分家がパリとロンドンだけで、ドイツ、イタリア、オーストリアが消滅していることの理由がつかない。第二次大戦時、ナチスに追われ、身内を殺害されたこと人物がいたりすることもまた然り。金融業単独で見れば、とても往時のパワーはなく、世界を牛耳る力など、どこまであるのか怪しいものだ。経済的利益を追求するために一般企業ですら行っていることを、計略や謀略などと騒ぎ立て、世界支配を目指したオカルト集団などと言い出したらもうマンガの世界である。マイクロソフトだって悪の帝国である。「ないもの」を「ない」と証明できないのをいいことに、”陰謀説利権”は蔓延し、相変わらず櫻井良子やベンジャミン・フルフォードがメシを食う。
初版1995年。ぜひともアップデート版を望みたい。