ハイコンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代(ダニエル・ピンク、大前研一訳/三笠書房)

erevan2009-03-11

最近読んできた「脳科学/行動心理学」系と「フラット化する社会」を足して2で割ったような内容。IT革命が世界の労働環境を著しく変化させ、もはや単純労働やコンピューターに代用可能な仕事ではメシが食えなくなってきた。そんな時代の「生き残りの処方箋」として著者が挙げるキーワードは、「センス」「デザイン」「クリエイティブ」。だがその根拠となるのが旧態依然とした「左脳-右脳」論で、要は「右脳を鍛えよ」ではさすがに読む気が失せる。恐らくこれを読んで喜ぶのは、今現在クリエイティブ関連業界で働いている人々だろう。日頃、理屈や数字に虐待されている彼らにとって、この本は心強い援軍になるはず。もちろんビジネス本の世界は基本的にコンプレックス産業だから、マーケットボリュームを考えつつそのあたりを逆算して出版しているに違いない。世界で230万部。そのうちの一人にまんまと入ってしまった。情けない。各種参考URLは実用的。