天授の子(川端康成/新潮文庫)

erevan2008-01-17

単行本未収録作品を集めた、死後編纂の拾遺集。表題作以外はよほどの川端ファンでもないと楽しめないだろう。構成も決めずに書き出したような「故園」は、途中で筆が路頭に迷い、弱り果てた作者の愚痴らしきものが続く。「東海道」は、古典の教養が延々と垂れ流されるだけの退屈な作品(未完)。「天授の子」でいつもの川端らしさが味わえるが、これとて特筆すべき作品レベルではない。