2007-01-01から1年間の記事一覧

マーケティングの神話(石井淳蔵/岩波書店)

科学主義に対する否定的見解を敷衍し、マーケティングを「神話」と喝破。ビジネス界にあふれる「成功談」のほとんどが後付けであるという、ほぼ間違いのない事実を出発点に、巷にあふれるマーケティングの常識をモノの見事に解体していく。まさにマーケティ…

会話術(松本幸夫/秀和システム)

同シリーズの一冊。こちらの方が実践的。「賢く見せる会話術」など、あからさまな視点に好感。

プレゼン術(茂木俊明/秀和システム)

「ビジネス・スキルズ ベーシック」シリーズの一冊。プレゼンの定義=「ビジネスプランをわかりやすく伝えることで予算の承諾を得る場」に目からウロコ。特別目新しいことは書かれていないが、基本に立ち返るためにこのシリーズは揃えておいてもいい。「腹式…

Window Seat: Reading the Landscape from the Air(GREGORY DICUM/CHRONICLE BOOKS)

北米各地の空撮に地形・植生などの学術的コメントを付したもの。ブックデザインからすると、もっと軽めの内容かと思ったが、かなり真面目な地理学の本。ビジネストリップのお供に、というには結構お固い。高校地理のサブテキストにはいいかも知れない。ヨー…

バカ売れキャッチコピーが面白いほど書ける本(中山マコト/中経出版)

キャッチコピー、といっても主に店頭POP向け。使用者実感をそのまま書き写せ、という主張には実績に裏付けられた強いリアリティがある。この本で参考になるのはコピーそのものよりも、著者の語り口かも知れない。「そう思いませんか?」と問われて100…

論理的な話し方が面白いほど身につく本(茂木秀昭/中経出版)

説得の要素として、アリストテレスの「論理(ロゴス)」「感情(パトス)」「信頼性(エトス)」を挙げ、それぞれが「説明広告・比較広告」「イメージ広告」「ブランド力」に対応するという説は面白い。著者独自の思考ツール「三角ロジック」はやや分かりに…

行動主義 レム・コールハース ドキュメント(瀧口範子/TOTO出版)

コールハースの言動そのものよりも、それを解釈し解説を加える著者の膨大な知識と情報量に圧倒される。いわば、コールハースを素材にしたフィールドワークの報告書。文章の至るところに埋め込まれた刺激的な情報の数々、その密度の濃さが、コールハースの著…

チャート式 図解でユカイ(石黒謙吾/ゴマブックス)

良くも悪くも「VOW」な世界。懐かしく、古い。歌謡曲の歌い方を図解したパートが良い。

10+1 no.41(INAX出版)

「実験住宅」の特集号。11のキーワードで分類した”実験住宅カタログ”が見て、読んで、楽しい。建築関係の専門誌だが、一般読者にも開かれた内容になっていると思う。

ズバッと!短文で!語る技術(田村仁/すばる舎)

偶然にも同じ著書の本を続けて読むことに。各章に短い「トレーニング」があり、この内容が非常に優れている。短文の要点を数文字で示す、というだけの作業がこれほど難しいものだとは。ふだんいかに自分が「気分」で話しているかを痛感する。これまで話し方…

一瞬で!心をつかむ売れるキャッチコピーの法則(田村仁/秀和システム)

「商品キャッチコピー」と「広告キャッチコピー」。「企業価値」と「お客様価値」。両者の明確な区別をつけること。これだけ当たり前のことがないがしろにされている広告業界の病。

インタビュー術!(永江朗/講談社現代新書)

取材対象の発言をテープ起こししたものと、活字にまとめられたインタビュー内容との相違に驚く。これは明らかに別物、取材者による創作である。世の中にあふれかえる「インタビュー」なるものの成立過程、ブラックボックスの内部を一瞬垣間見る。世界の実相…

眼の冒険(松田行正/紀伊国屋書店)

「デザインの現場」の連載をまとめたもの。想定ターゲットを学生にしているためか、話が通俗的に過ぎる。講演会などで杉浦康平に対する偏愛を語る著者だが、根本的なところで氏のスタンスと重なっていないように思う。博識かも知れないがインテリジェンスを…

現代建築に関する16章(五十嵐太郎/講談社現代新書)

現代建築にとっての重要キーワードを中心に、広範囲かつ刺激的な論考が展開される。ブックガイドとしても非常に有用。

ブレインの戦術(岸博幸/あさ出版)

ここに書かれているような、いかにも青臭い話で竹中改革が進められていったとはとても思えないが、読後感が「ウェブ進化論」に似ているのが気になる。もしかすると、この圧倒的な楽天性が物事を動かすのか。アメリカンパワーの源泉であるそこを信じるものだ…

洗脳選挙(三浦博史/光文社)

以前読んだ「舞台ウラの選挙」とほぼ内容が重なっている。「舞台ウラ」は、2年前に出版された本書のアップデート版といった感じだ。こんな出版スタイルはありなのか。どちらか1冊買えばOK。

ネットワーク分析(安田雪/新曜社)

当たり前のことを、ことさら難しく考える。その研究のためにどこかから金を引っ張ってくる。学者とは実に愛すべき存在である。

この一冊で世界の地理がわかる!(高橋伸夫/三笠書房)

一国の政治経済は、その国の置かれた地理に強く制約される。当たり前といえば当たり前の話だが、人間が環境的生物であることを再確認するにはいい。

クリエイティブ頭のからくり(袖川芳之/朝日新聞社)

これは凄い。企画開発のバイブル。

イラク戦争と情報操作(川上和久/宝島社新書)

アメリカがやり過ぎてくれたお陰で、戦争の楽屋裏が世界中にバレてしまった。不幸中の幸いだったのかもしれない。今後、一切の仕掛けは難しくなる。

舞台ウラの選挙(三浦博史/青春新書)

「ネット献金」など、アメリカ型選挙の実例が面白い。さかんに広告代理店の悪口を書くのだが、まともな代理店と仕事をしていないのではないか。

加島祥造詩集(思潮社)

「現代詩手帳」に掲載されていた「a light verse」に惹かれて購入したが、残念ながら他の詩はそれほどのものではなかった。散文の中に少しいいものがある。解説によれば「a light verse」は頭韻を踏んでおり、作者もそこに意義を見出していたということだが…

情報と国家(江畑謙介/講談社現代新書)

国家による情報操作に対し、もっと個人がリテラシーを持て、という。だがその方法論が「常識を持って疑え」ではあまりに弱い。期限を盾に取られたとき、懐疑主義ほど無力なものもないと思う。

子どもの言いぶん(くまもと親と子の教育相談室/川島書店)

新聞連載のコラムが元になっているので仕方ないのだろうが、全体に内容が教条的すぎる。せっかく取り上げた相談事例は変に抽象化され、「〜したいものだ」「〜でありたいものだ」的な教師や親としての心構えを述べて終わってしまう。

戦争の常識(鍛冶俊樹/文春新書)

米海軍のニミッツ級空母1隻の建造費=約5兆円=日本の防衛費1年分。昭和17年9月、米国オレゴン州沿岸で日本の潜水艦伊二五から離陸した飛行機が米本土へ最初で最後の空爆。GPSは米軍が開発したシステムの一部を民間に開放したもの・・・など、トリ…

低度情報化社会(コモエスタ坂本/光文社)

ネット社会をテーマにした雑文の集積。結構鋭い視点があるし、なによりキャッチフレーズの作り方がうまい。最後の「未来への展望」風の章はとってつけた感じで不要。

ハイデガー (J・コリンズ/椋田直子訳・現代書館)

ナチスを信奉していたこと。エコロジー思想と親和性が高いこと。読後に残ったのがその程度というのも空しい。ハイデガーを論じた英文を日本語訳で読むことの不毛。

自民党幹事長室の30年(奥島貞雄/中公文庫)

自民党支配の楽屋裏。戦後政治を学習する上でサマリーともなるべき良書。

気まぐれコンセプトクロニクル(ホイチョイ・プロダクションズ/小学館)

テレビと広告がやりたい放題だった時代。日本人が、というより人間がどこまで低俗になれるか、の壮大な実験記録。祭りに浮かれた姿を、祭りの後に見るのは空しい。当時これを読んで笑ったろうか?今ではまったく笑えない。軽薄には違いないが、骨のある軽薄…

危ない写真集246(飯沢耕太郎/ステュディオ・パラボリカ)

10年以上前だったら、この本も相当危なかったのかもしれない。あらゆる情報が検閲なしで手に入ってしまうネット時代には、もはやインパクトが希薄。我々の感性はどうしようもないレベルまで爛れている。