タイタニックは沈められた(ロビン・ガーディナー&ダン・ヴァンダー・ヴァット/内野儀・集英社)

タイトルから想像されるような陰謀説の本ではない。事故の発端から事故後の裁判までを、膨大な資料にあたって詳細に取材したノンフィクションである。著者たちが言うように、タイタニックにまつわる数々の陰謀説を検証・反証するための基礎資料とするべく執筆されている。疑惑をほのめかす部分もあるが、そこを執拗に追及しているわけではない。そう思って読めば、質量ともに資料的価値は非常に高い。日本版制作者による姑息なタイトルづけと帯の文句。読者を騙そうとする出版社をこそ沈めよ。