ルポ 貧困大国アメリカ(堤未果/岩波新書)

erevan2009-02-28

サブプライムローンを始めとする「貧困ビジネス」に食い物にされる、社会的マイノリティの悲惨。結局われわれは、アメリカの現実なんか何も知らなかったのだ。金融、医療に加え、内容的に大きなウェイトを占めるのが「戦争ビジネス」。経済的に困窮した若者たちが、学費や生活費欲しさに軍隊へと志願し、戦地に送られ、使い捨てにされていく。そのあまりに狡猾なシステム。だからといって編集部の意向かどうか知らないが、結論を「平和憲法=九条堅持」へ持っていくような短絡思考はやめたい。大量の(不法)移民を抱えるわけでもない日本が、この本を読んで学ぶべきことは他にあるはずだ。例えば、政治動向のウラに必ず潜む産業界の思惑。例えば、日本人の預貯金を吐き出させようとする一部勢力、アメリカの代弁者たちの言説。「お金は銀行に預け」ておくべきだろうし、堅持すべきは国民皆保険制だ。