ロビンソン漂流記(デフォー/吉田健一訳/新潮文庫)

無人島への漂着。ゼロからの生活。サバイバル・・・。18世紀のこの作品が、トム・ハンクスの「キャスト・アウェイ」など、時代を超えて繰り返し引用されるのは、物語世界の根幹である”究極のDIY精神”が欧米人男性を強く刺激するせいだろう。
毎日を日記調に事細かく記述していく文体を、リアルと取るか退屈と取るかは意見の分かれるところ。野生動物の無慈悲な殺害シーンに面食らっていると、道徳的視点から野蛮人への襲撃を逡巡する心理描写がでてきたりと、近代から現代へ至る過渡的な部分が見受けられて面白い。