私とキャリアが外務省を腐らせました(小林祐武/講談社)

erevan2008-02-17

経費詐取で逮捕された外務省経理畑の元ノンキャリアが、裏金づくりの実態を暴露した”懺悔録”。
といっても領収書の改竄や水増し請求、タクシーチケットの換金などその手口はあまりに古めかしいし、裏金の使い道が職員の弁当代や飲食費、一部の私的流用と言い張るなど、明らかにお茶を濁された感じ。トカゲの尻尾切りに甘んじて、問題の矮小化を狙い、もっと大きな何かを守ろうとしたのか。
あとがきが興味深い。逮捕後、ネットで自分の名前を検索すると、そのほとんどが逮捕にまつわるもの。このまま放置していては子や孫に合わせる顔がない。新たな記述が少しでも加わるように・・・と執筆を決意したという。消去も更新もできない過去の汚点が永久に循環するネット社会。犯罪者の社会復帰を阻む巨大な障害となっている負の側面を痛感した。