ジャーヘッド アメリカ海兵隊員の告白(アンソニー・スオフォード、中谷和男訳/アスペクト)

erevan2009-02-16

湾岸戦争に従軍した元海兵隊員が書き、ニューヨーク・タイムズが激賞した「現代の戦争文学」。それにしてもこのフラット、というかポップな筆致はなんだろう。先の大戦ベトナム戦争など、一般にイメージされる「戦争文学」の重苦しさはここにはない。物質社会の申し子のような、ごく普通のアメリカ青年が書いた戦争体験記は、まるでフットボールチームの遠征日記を読んでいるかのように「軽い」。すべての事象をエンタイメント化してしまう、現代アメリカ社会の特徴が露骨に出ているとも言える。