建築に夢をみた(安藤忠雄/NHKライブラリー)

erevan2008-03-25

近代建築史を概観するには最適の、教科書的な一冊。が、「日本人は古き良き物をすぐ取り壊し、ゼロから作り直そうとする」と嘆いてみせるあたり、ステレオタイプな欧米モダニズム直輸入主義を感じて悲しくなった。スクラップ&ビルドの圧倒的な速度こそが、東京を世界に名だたる魅力的な街並みにしているし、「穢れ」や「祓い」との繋がりを考えてみても面白いのだが・・・。では、あの表参道ヒルズとやらは何なのか?アジア的カオス、自然発生的な迷宮空間を一切否定した、墓石のような商業ビル。言い訳のように、同潤会アパートの切れっ端を保存していたが、昆虫標本のようで無残であった。