ブランドビジネス (高橋克典/中公新書ラクレ)

erevan2007-10-07

ファッションビジネスに精通した著者ならではの、業界裏話がたっぷりと楽しめる本書。ライセンス生産の実態を暴露した部分が特に面白い。気軽に読めるエッセイだが、ブランド品が日本で流行る理由を「清潔」と「安全」と指摘するなど、なかなか鋭いマーケティングセンスも披露してくれる。
ブランド構築には膨大な金と時間が掛かるが、時間すなわち歴史を瞬時に作り出すのは不可能。だから欧米では手っ取り早くブランドを売買し、時間を金で買う。本書とは無関係だが、この発想を違った形で表現しているのが日本の某携帯会社のブランド戦略。巨額の広告費を注ぎ込み、広告の顔つきだけでメジャーブランドっぽく見せてしまおう、という究極の促成栽培。いずれメッキが剥がれるかと思いきや、現実の方がイメージを後追いし、ブランド力が付いてきてしまった。凄まじい現象だと思う。