日立・戦略広告に21世紀を読む(山田理英/産能大学出版部)

初版1993年。1行目にいきなり「これは日立の買い上げを目的とした本ではない」とあり、わざわざそんなことを書くのがいかにも胡散臭いと思っていたら、やはり歴代トップの名をズラズラ挙げて時の戦略を褒め称え、広告に対する外からの批判を「意図を読み取れていない」と斬って捨てるなど茶坊主ぶり全開の流れに。
 時代考察、他社広告の論評などそれなりに鋭い視点もあり、つい読み続けてしまうのだが「ライバル企業を凌駕する技術力を、企業イメージにうまく結びつけるための広告戦略」を、センセイなかなか具体的に示してくれない。「それでは私の考える広告戦略を説明する」で期待すると「だがその前に・・・」と予備知識の開陳(仏教、ポストモダン、トインビー・・・)で煙に巻く。
 そんな調子で引っ張り続けてラスト2章。いよいよ、と出してきたアイデアは唐突に「ドラえもん」???。だがそれは単なる例え話らしく、本当のアイデアは最終章だと。そこでまた唐突に「アトランティス」???・・・それも例え話。で、結局最終ページ。「それでは具体的にこれを広告でどう展開すればよいのか・・・それについては、機を改めて詳しく記すことにする」
読後感はツインピークスエヴァンゲリオンである。