死刑台のエレベーター(ノエル・カレフ、宮崎嶺雄訳/創元推理文庫)

erevan2011-05-13

一見バラバラなプロットが見事なまでに収斂されていく。巧みな構成力に、震えるようなカタルシスを得た。フランスらしい、どこか詩的で哲学的な深みがある会話も好きだ。後半のカミュカフカ的な、不条理な審判に飲み込まれていく展開もいい。ビュトールの作風にどこか通じる雰囲気もある。一度読み出したら止まらない、傑作サスペンス。