売り方は類人猿が知っている(ルディー和子/日本経済新聞社)

erevan2010-01-31

マーケティングとは、一つの病理である。
近代合理主義の産物であるマーケティング理論は、あらゆる物事が「情」で動く日本社会にはそもそも馴染まない。「消費者=合理的存在」を前提とした理屈で、合理性とはほど遠い日本の消費者を動かそうとするから、いつも現場は混乱する。この本に書かれていることは、日本人よりも欧米人の方に刺さるのだと思う。我々からすると、しごく当然の結論を数々のデータで裏付けてもらった感じだ。もっとも、その理論やデータにそれほど信憑性はないのだが。読み物としては面白い。
直感やひらめきと言った、マーケティング思考からすると数段低く見られてしまうような資質が、「ヒューリスティクス」と名付けられることで、数少ない物だけが持ちうる特殊能力に思えてくるから不思議だ。