28の主題 迫慶一郎の建築(TOTO出版)

erevan2009-06-15

登場するすべての作品が放つ、凄まじいまでの醜悪さ。周囲との調和などお構いなし、他より目立てばそれでよしという、中国人特有のメンタリティーに、不幸にも建築家の何かが合致してしまったのか。施主も施主だが、便乗する建築家も建築家。こうしたやり取りの延長線上に、ジャ・ジャンクーの「長江哀歌」的な世界が展開しているのかと思うとやり切れなくなる。あの映画に出てくる、完成半ばにして打ち捨てられた奇怪な建造物こそ、この建築家の作品そのものである。