沈黙のファイルー「瀬島龍三」とは何だったのかー(共同通信社社会部編/新潮文庫)

erevan2009-04-17

山崎豊子不毛地帯」で主人公のモデルとなった瀬島隆三氏。小説ではきわめてヒロイックに描かれていたその実体を知るべくこの本を手にしたのだが・・・何も書かれていない。瀬島氏を遠巻きにしながら、表層的な周辺情報でなんとか紙面を埋めている感じ。企画をぶち上げてみたはいいが、様々な事情から突っ込んだ取材は出来ず、「なぞる」のが精一杯だったということか。腰の引けまくった内容が、アンタッチャブルな氏の立ち位置を逆説的に感じさせ、凄みがある。で、結局、瀬島隆三とは何だったのか?