強欲資本主義 ウォール街の自爆(神谷秀樹/文春新書)

ゴールドマン・サックス退社後、ニューヨークで投資会社を立ち上げた著者が体験談を交えて語る、米国金融崩壊の顛末。威勢のいい帯のコピーに騙されてはいけない。金融の現場にいた人物ならではの生々しいトピックはほとんどなく、「モノ作りを忘れて金儲けに走ればロクなことはない」とあまりにも平凡な教条主義的メッセージが繰り返されるだけ。ライブドア事件の時に評論家の皆さんが口を揃えて言ってたキレイごとの反復。日本経済も中国経済アメリカ人の浪費癖に支えられてきた、という視点だけはちょっと鋭い。