日本/権力構造の謎(上)(カレル・ヴァン・ウォルフレン/篠原勝訳)

erevan2008-07-31

この本が出版された当時、日本経済は絶頂期で、諸外国との軋轢なども多く、つまり世界における日本の存在感は今よりもはるかに大きく注目度も高かった。いわば世界中が「不可解な国=日本」の内実を理解したがっていた。その世界的需要に、本書はモノの見事に応えたはずだ。分析能力は凄まじく、今読んでもかなり際どい部分が白日の下にさらされており、日本の政財界を震撼とさせただろうことは容易に想像がつく。「菊と刀」風の文化論的な部分が大半を占めるが、政治経済、裏社会のタブーに踏み込んだ部分が圧倒的に面白い。これは著者の野心の賜物なのか。まるで特務機関の研究レポートのようだ。