RE DESIGN 日常の21世紀(原研哉/朝日新聞社)

erevan2008-07-11

トイレットペーパー、ゴキブリホイホイなど定番中の定番デザインを、現代的な視点でデザインし直しみたら一体どんなモノが生まれるのか。無印良品の広告キャンペーンで知られる原研哉が各界のクリエイターにお題を出し、その解答である作品群をまとめたのが本書だ。野心的なコンセプトではある。だがあまりに野心的過ぎて、作品がまったく答え切れていない。建築家の一部に斬新な視点もあるが、商業デザイナーはほぼ全滅と言っていい。ほとんどが日常業務の延長線上のようなシロモノ。結局この人たちはデザインの表層しか理解していないんじゃないか。と思わせてしまう点で、デザイナーの真の実力を測る実にシビアなプロジェクトだったと言える。特にヒドかったのは、日本国パスポートのスタンプを、幼稚で薄っぺらなイラストにしてしまった佐藤雅彦。本人も納得していないらしく、付録の対談でプロジェクトの趣旨に不満をぶちまけているのだが、これがかなり見苦しい。