長谷川恒男 虚空の登攀者(佐瀬稔/中公文庫)

erevan2007-05-29

元新聞記者という割には文体にクセがあり、不用意な体言止めや美文調がうるさい。インタビュー部分のリアリティが薄く、まるでシナリオを読まされているよう。「ベビーブーマー800万人の中の一人」という世代論もしつこい。それでも後半には筆致が乗ってきて、周囲と軋轢を繰り返しながらも人間的に成長していく規格外のクライマー・長谷川の魅力が横溢する。